同窓会の通知
春先になって、大学のときのコーラス部の同窓会の通知がきました。
大学の新入生の歓迎コンパをかねた同窓会で、私は大学のとき、旦那とコーラス部で知り合ったので毎年行かない訳にはいきませんでした。
旦那も一緒に行く予定だったのですが、当日になって急な出張が入って行かれないと携帯にメールが来ました。
池袋の大きな飲み屋をほとんど貸し切りにして、いろいろな大学のコーラス部の卒業生が集まりました。
久しぶりに礼子さんの顔をみると学生の頃に戻った気分になりました。
コーラス部は女の子の方が人数がおおいいので、男の子達は角に固まっておしゃべりをしていました。
女の子だけで集まるとエッチな話しになることも多いのですが、男の子がいたのでエッチの話しもあまり盛り上がらず、私は一安心しました。
以前は合コンの時泣き出す女の子がいたり、喧嘩を始める男の子がいたりで大変な騒ぎになったこともありましたが、みな社会人になったせいか無難な話しに始終しました。
やがてお開きになると私は礼子さんと一緒に帰ることにしました。
二人で夕御飯を食べていきましょうと礼子さんに誘われて、六本木のスペイン料理店で食事をしました。
「どう最近旦那とはうまくいってるの」と礼子さんが私に聞きました。
「退屈してるんじゃないの、旦那が相手じゃ、あの男パソコンオタクで、ほかになにもできないし、あっちの方だって、全然だめなんじゃないの」
と言われて、礼子さんも大学の頃とは随分変わったなと思いました。
「そうね、いまなの家は、旦那はパソコンばかりだし」と私が答えると、「今日はちょっと遊んでいかない、一晩くらいいいでしょう、旦那以外の男とつきあっても」と言われました。
私はそれもいいかなと思いましたが、返事はしませんでした。
食事を終わると礼子さんが、「面白い店があるから寄っていかない、絶対後悔させないから」と言います。
私は何でもいいと思って礼子さんについて行きました。
細い道を曲がって、裏の非常階段を上がってマンションの入り口に連れて行かれました。
ドアを開けると受付になっていて、いかにも危ない雰囲気でした。
「ここはね、身分がしっかりしてないと、入れないのよ、それに紹介がないと入れないの」
と言って私は住所と名前を書かされました。