芝居を見に行こう
旦那が珍しく二人で今度芝居を見に行こうと言い出しました。
大学の時の友達が劇団に入っていて、今度公演があるので誘われたそうです。
私も何度か会ったことのある男の子なので、なるほどあの子が劇団に入って役者になったのねと思い一緒に見に行くことにしました。
芝居が始まってみると、舞台は女装した男性の話で、出演者の男性はみな素敵なワンピース姿でした。
芝居はコミカルに進んで、女装の男性が、男装の女性と結婚するという結末でした。
最後にウェディングドレスの花嫁を、両手で抱えて花婿が舞台から下に消えていく場面がありました。
家に帰ってから、旦那が「俺あれ一度やってみたかったんだ」と言い出しました。
なんの事かと思って聞き直すと「花嫁を両手で抱えて、それでベッドまで運ぶのやってみたかったんだ」と言います。
「ちょっとやらせろよ」と言うので私は寝室で旦那の首に両腕を回しました。
旦那が私の背中に右手を回して、もう一方の手を足の下に通して持ち上げようとしました。
どうにか私が旦那の首にぶら下がって旦那が立ち上がりましたが、「これはだめだ」と言ってすぐに私を降ろしてしまいました。
「お前重すぎる、前はもっと軽かったのに、太ったんじゃないか」と言って機嫌が悪くなりました。
翌日私は体重計を買ってきて、体重を量ってみました。
大学の時より5キロも増えていて、私はどうしようもなく愕然とするだけでした。
私はなんとか運動をして体重を減らさなければと思い、大学の時の友達の礼子さんに電話してみました。
大学の時よく練習した職員用のテニスコートでテニスをする話しがまとまり私はほっとしました。
大学の近くの駅で礼子さんと待ち合わせしていつものテニスコートに行くと、まだ時間が早かったせいか、他の男の子達がテニスをしていました。
さっそく更衣室で着替えを済ませると私は礼子さんのテニスウェア姿を見てびっくりしてしまいました。
生地が半分スケスケで下のブラジャーとアンダースコートがはっきり見えて、とても人前に出られるような服装ではありませんでした。
礼子さんは私の視線に気が付くと「このテニスウェアねウィンブルドンで杉山愛が着てた最新モデルなのよ」と自慢そうにくるりと一回りしてみせました。
私は結婚してからは地味な服装ばかり着るようになりましたが、礼子さんはまだ独身なので色気もまだムンムンなのねと思いました。
それにしてもお色気がありすぎるのでスケスケのテニスウェア姿はちょっと心配でした。
着替えも済んでテニスコートに行ってみるとテニスコートの金網の中には、チァリーディングの衣装をつけた女の子達が大勢で応援の練習をしていました。
女の子達の前には学生服を着た男の子も並んでいて、両手を変な格好で叩きながら大きな声をだしていました。
私はいったいどうしたことかと礼子さんの顔を伺いましたが、礼子さんもきょとんとした顔で事情がさっぱり分からないようでした。
ともかく相手は大勢だし、変に言い争いになっても困ると思い、私達は諦めてテニスコートの横の建物に向かって壁打ちをすることにしました。
まあ壁打ちだけでも出来ただけいいかと思い礼子さんと二人で一生懸命ラケットを振っていると、私の打った球が飛んでもない方向に飛んでいきました。
まずいことをしたと思った瞬間に玉はテニスコートの金網の上を飛び越えてちょうどチァリーディングをしている女の子達の足元に落ちると、女の子の一人が玉に足を取られて転んでしまいました。
私達は慌ててテニスコートに入って、謝りながら玉を返してもらおうとしました。
しかし女の子は足を捻挫したらしくてすぐには起きあがれないようでした。